里海珊瑚プロジェクトはこれまで「IT×福祉」というコンセプトのもと、 障がいのある方々の”働く”を支え続けてきました。 その歩みの中で私たちは思いました。
テクノロジーの力があれば、もっと社会と自然を”やさしく接続できる”のではないか。
沖縄の海では、いまサンゴが静かに姿を消し、 そして社会には、障害のある人たちが活躍できる場が求められています。
失われゆく海の命と、まだまだ輝ける人の力。 このふたつの”未来を育て、創る力”をつなげるプロジェクトとして、私たちは動き出しました。
陸上でサンゴを育て、テクノロジーで見守り、成長した命を、再び海に還していく。 それはただの環境保全でも、福祉支援でもありません。
沖縄という地域に根差し、人と自然と社会が、互いに育ちあう関係をつくる。 そんな”新しい仕事のかたち”を私たちはこの海から始めようとしています。
「海、人、社会の可能性をつなぎ、育ちあう未来を創る。」
働く人、その環境を整える企業、社会の一人ひとりの手が、この海の未来にふれることができるなら、それはきっと、社会がやさしく変わるサインです。
今回はそんな里海珊瑚プロジェクトの最前線で活躍されている鶴田さんにお話をお伺いしました。

<インタビュイー>
鶴田 雄一さん
<経歴>
楽天グループで広告営業・マーケを担当しMVP受賞。楽天モバイルでWeb広告を企画。その後、セールスフォースで法人向けDX提案を担当する中で、サンクスラボに出会いジョイン。
海と向き合うキャリアチェンジ

本日はよろしくお願いいたします!
さっそくですが、改めて自己紹介をお願いしてもいいですか?



サンクスラボに入社して半年ほどで、現在“里海珊瑚プロジェクト”の事業を推進しています。以前はデジタルマーケティングの領域で、デジタル広告販売、MA(マーケティングオートメーション)の販売を担当する営業部門に所属していました。
お客様の課題を解決しながら、営業部門の数字を追いかけ、達成感もあってとても充実していました。でも全く違う領域に飛び込んでみて、改めて「未知を一緒に探す面白さ」を感じています。



大手の環境から、なぜ思い切って挑戦しようと思われたんでしょう?



スキューバーダイビングが好きで海に関わる仕事をしたいと考えていたところ、「里海珊瑚プロジェクト」を知り、ご縁を頂きご一緒させて頂く運びとなりました。
沖縄の海が好きでよく潜っていたんですが、潜るたびに「景色が変わったな」と感じることが増えました。
ただ綺麗なだけの海じゃなくて、変わり続けていることに気づいたんです。
サンクスラボの取り組みを知って調べていくうちに、それがサンゴの白化や死滅につながっているとわかって。
沖縄の海という大切な自然資産を残していきたい、サンゴが消えてしまっているこの状況を皆に知ってもらった方が良いと思ってこの挑戦に飛び込みました。


サンゴが消えると、地域も文化も失われる?



沖縄のサンゴはなぜ減っているんですか?



海水温の上昇、沿岸開発、オニヒトデの大量発生…複合的な理由で進行しています。
2034年頃には白化現象と呼ばれる白化が常態化(国連報告書)し、2050年頃にはほとんどのサンゴが消滅してしまうという報告も出ています。
海洋生物種の25%がサンゴ礁を住処にしていて、それが失われると、生態系も、漁業も、観光も、地域の文化も一緒に失なわれてしまうかもしれません。



2050年ってあっという間に来てしまいそうですね…。
サンゴを守ることは、人の暮らしを守ることなんだと改めて感じます。



そうです。
なかなか海に潜る機会も少ないと思うので、この見えない聞こえない現状があるからこそ 東京に拠点があることでたくさんの人に知ってもらい、行動変容を促す機会となればと思っています。
東京の水槽でサンゴを育てる意味



なぜ沖縄から東京にも拠点をつくったんですか?



里海珊瑚プロジェクトへの参画を企業様へご案内させて頂く過程で、企業様より自社のオフィスの近くにも水槽があったら嬉しいというお声を頂戴する機会が増えてきました。
経済の中心地でもある東京の企業や人々へ向けて、水槽があれば、人々が「自分に関係のあることかもしれない」と感じてくれるかもしれない。企業が「うちのCSRで関わりたい」と言ってくれるかもしれない。そんな小さな接点が社会を変えていくと思いました。
私も含め、大都市に住んでいると自然に触れる機会というものは多くはなくて。
自然の豊かさや共存する大切さ、変化し続けている自然環境を見落としがちだなと思っています。都心に水槽があることで、自然の大切さや自然環境を再確認するようなきっかけになればと思っています。
また企業や地域、障がいのある方が一緒に関わる「社会参加の形」を東京から広げていきたいです。都心に拠点を置くことで、よりスピード感を持って里海珊瑚プロジェクトが広がるのではないかと期待しています。
最終的に東京での活動から、いずれは全国へ。世界へこの挑戦が広がっていったら良いな思っています。



小さなきっかけを積み上げる泥臭いところから、世界を見据えた挑戦であるストーリーまであるんですね。困難もあるかと思いますが、ワクワクするところですね!
この取り組みは、福祉の面でも新しい挑戦ですよね。



はい。
障がいのある方が、環境保全の最前線に立つのは今まであまりなかったと思います。
「サンゴを育てて、海に還す」という目の前の目的があると、働く中でやりがいや誇りを感じられると思います。
福祉の仕事は「支援する側とされる側」というイメージが強いですが、ここでは全員が等しく「社会を良くするチームの一員」なのです。
「これは私の仕事です」と胸を張る姿を見ていると、こういう環境がもっと広がってほしいと感じます。
水槽を支える多様な役割と一体感



水槽を維持するには、どんな人が関わっているんですか?



本当にいろんな職種の人が関わってくれています。
障がいのある方が里海珊瑚プロジェクトの参画企業のサンゴ養殖を業務として日々の掃除や藻の除去、サンゴのケアを担当してくれます。 その方たちを支えるのが就労支援トレーナーで、水槽管理者と一緒に作業計画を立てたり相談に乗ったりしています。
SDGsアライアンス営業とサテラボCSが参画企業と連携して「従業員のエンゲージメントを向上させたい」「CSR活動としてPRしていきたい」など、様々な相談を一緒に形にしていきます。
そしてその活動を世の中に届けて、共感の輪を広げ、人々の行動を少しずつ変えていく。
一つの水槽を中心に、多様な人が同じ未来を目指している感覚があります。



あらゆるカテゴリのインタビューで出てきますが、サンクスラボは本当に職種の垣根を超えたコミュニケーションが活発で、関わるメンバー全員のワンチームで挑戦していることが多いですよね。


イベントで芽生える「自分ごと」



ご入社されてから心に残っているイベントはありますか?



沖縄県の商業施設で行ったサンゴの苗づくりイベントが心に残っています。
親子で参加してくださる方が多くて、お子さんが「これ、私が作ったんだよね?海に還るんだよね?」と話してくれました。
「そうだよ、また沖縄の海に戻るんだよ」と伝えたときの嬉しそうな顔は忘れられません。
こういう体験が、人々のこれからの行動を変えていくのだろうと思っています。
沖縄で行った企業様向けの来沖イベントでは、東京からわざわざ足を運んでくださった企業の方々と一緒に、IoT珊瑚養殖場とサンゴが植え付けてある海域を視察しました。 既に環境問題への意識が高い皆様にお越し頂いておりましたが、実際の現場を目で見て感じて頂き、その経験が「自分ごと」に変わる大きなきっかけになっていると、改めて思いました。



「自分ごと」に変えていくことでより行動もかわっていきますよね。



本当にそうです。
やっぱり、実物を見て触れて話を聞くと、みなさんの表情が変わるんです。
「自分ごと」として感じてもらうきっかけとなり、これからの皆さんの行動が少しでも変わると嬉しいです。


小さな一歩が未来を変える



これからの目標や、挑戦が広がった先の景色を教えてください。



まずは、東京の水槽を販売しきるのが目標です。
東京の企業や地域の方々に関わっていただきながら、サンゴを通じて環境問題への意識がより高まり、人々の行動が変わるきっかを作っていきたいです。
将来的には、「うちの水槽で育ったサンゴが沖縄の海に還ったんです」と企業の方が話してくれたら嬉しいです。
障がいのある方が「自分の仕事が社会に役立っている」と胸を張れる。
企業の参画がたくさんの人々を巻き込んでいく。
人々が美しいサンゴを見て笑顔になれる未来。
そんな情景を一つずつ増やしていきたいですね。
さらに言うと、この活動は日本経済の発展にもつながると思っています。
日本経済の主力産業に観光業も入っています。
近年、観光客も増えてきている中で「沖縄の海」という観光資源は重要な資産でもあり、沖縄のサンゴを保全することは日本経済の発展にも貢献する活動だと考えています。



サンゴを育てることから日本経済まで視座を高めてこのプロジェクトを推進されていることを聞いて、本当に大きな挑戦であることが伝わりました。
一歩を踏み出したいあなたへ



最後に、一緒に挑戦する仲間へメッセージをお願いします。



特別なスキルや知識はいりません。
「何かを守りたい」「挑戦したい」という気持ちがあれば十分です。
私も最初は右も左もわからなかったです。
でも、一歩踏み出してみたら、支えてくれる仲間がいて、前例がないからこそ面白さがありました。
一緒に未来を探す仲間をお待ちしています。
あとがき
沖縄の海を保全する挑戦は、もう遠い話ではありません。
東京から、そしてあなたから、未来を変える一歩が始まるかもしれません。
もし少しでも心が動いたら、まずはお話ししませんか?
その一歩を、私たちは心から歓迎します。
まずはカジュアル面談でお話ししませんか?
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